文部科学省「大学の世界展開力強化事業」キャンパス・アジア

参加学生の声

兼松 諒
  • 参加プログラム:
    東アジア「ユス・コムーネ」(共通法)形成にむけた法的・政治的認識共同体の人材育成 派遣プログラム
  • 所属:
    名古屋大学法学部法律政治学科
  • 派遣先大学:
    中国人民大学(中国)、成均館大学(韓国)

私たちの「ユス・コムーネ」

名古屋大学のCAMPUS Asiaプログラムでは、東アジア「ユス・コムーネ」(共通法)の形成に向けた法的・政治的共同体の人材育成に取り組んでいます。

私は本プログラムを通して、中国人民大学と成均館大学にて半年間ずつ、計1年間の留学を経験しました。それぞれの大学にて中国語・韓国語を学ぶとともに、日本・中国・韓国を中心にアジアの法律・政治体制について理解を深めました。法や政治の専門科目の講義では、学生間の認識の違いや意見の対立から議論が紛糾することもしばしばあります。その中で、自分の考えをうまく伝えられず、思い悩むこともありました。しかしながら、留学生活を送る中で得た気付きを基に、この悩みは解消されていきました。異質な他者と意思疎通を図る上で大切なことは、まず他者の話に耳を傾け、その人の意見や考えの背景に何があるのか思いを巡らせることです。「私はこう思う」とひたすらに意見を押し通すのではなく、「あなたの意見は、いったいどういうことですか」、「なぜあなたはそう考えるのですか」と問い、他者を理解しようと努める姿勢が、結果的に私自身の考えに耳を傾けてもらうことにつながると思います。

プログラムを通して、自分とは異なる認識・価値観をもつ他者と、いかに意思疎通し、共通の認識を作り出すのか、という課題は講義室や日常生活において私たちの間で生じます。それにとどまらず、私は、この課題がアジアの国々の間での「ユス・コムーネ」形成における課題でもあると考えています。日・中・韓三か国の(ひいては世界の!)未来を担う学生が共に学び、各自の異なる価値観を共有し合おうと藻掻く中で、自分の考えに固執せず、相手を信頼して身を任せることの重要性に気付く。この気付きこそが、「ユス・コムーネ」(共通法)形成の扉を開く鍵となるのではないでしょうか。

充実したカリキュラムや、先生・先輩方の手厚い支援、さらには留学を共にした仲間たちとの出会いによって、価値あると信じる気付きを与えてくれたCAMPUS Asiaプログラムに心から感謝しています。