【キャンパスアジアプログラムに参加した動機】
動機として、まず、キャンパスアジアプログラムが学生として海外で研究できる最後のチャンスだと思いました。日常と研究の使用言語である日本語に対する抵抗がなかったのも、一つの理由でした。また「大阪」という新しい場所で、研究室生活ができる点もとても魅力的でした。こうした経験は、私自身を一人の専門家のみならず、どこでも活動できるオールラウンドプレーヤーとして、自己成長ができると思いました。大阪大学での学びをもとに日韓、ひいては東アジアの医学研究においての架け橋的存在になりたいです。
【派遣先での学習】
医の倫理と公共政策学教室で、最初の半年は、毎週ある教室セミナーと研究倫理に関するシンポジウムなどで基礎の勉強や現場での学びを積んできました。今年からは、研究プロジェクトにも参加しております。ここで私は、二つの柱にガバナンスの視点でアプローチを試みようとしています。その一つは、ヘルスケア領域においてAIに関する研究開発、実装、利活用などを同定し、どのようなレベルまでに来ているのかに関し、スコーピングレビューという科学的文献調査の手法による現状分析をすることです。もう一つは、スコーピングレビューの結果をもとに、患者をはじめ、医師、看護師、医療提供者、医学研究者、医薬器の開発者に至るまでのヘルスケアにおけるさまざまなステークホルダーを対象に行う半構造化インタビューです。そもそも医療におけるAIに興味をもったきっかけとしては、昨年、東京で開催されたAIホスピタルのシンポジウムに参加してからです。そこで、人工知能が現場に実装しているものの、この導入が実のニーズに基づくものであるかどうかを調査する必要があると思いました。この研究を通し、医療政策のためのガバナンスの視点からの提言、そして結果を市民・患者参画型の仕組みにすることを目論んでおります。
【派遣先での生活において、よかったことや大変だったこと】
楽しい毎日です。生活の面においても、研究の面においても、何不自由なくやっております。これも、キャンパスアジアプログラムや研究室の方々の手厚いご支援、ご協力があってのものです。本当に感謝しております。ありがとうございます。ただ、滞在の時期が悔しくも現在進行形のパンデミックなので、大阪で経験できるものが限定的になっていたのが大変でした。けれども、ちゃんと「三密」を守るなり、学校側からの適切な対応があったため、通常通り、留学生活にまい進しております。
【その他参加を検討している学生に伝えたいことなど】
私は、長期プログラムに参加しておりますが、実際、留学するまで約1年間の準備期間が必要でした。ホーム大学と派遣先大学のキャンパスアジアの事務局の方々に、かなりの頻度でご相談にのっていただきました。両研究室の指導教授の方々にも、ご協力たくさんございました。事実、博士課程に在籍しながら、海外でもう一つの領域を専攻する機会はなかなかないと思います。キャンパスアジアプログラムは、あなた次第です。このプログラムは、研究者として成長でき、見聞を深め、海外の同僚研究者に出会えるごくまれなチャンスですので是非ご検討ください。