はじめに
こんにちは!2025 Summer KAIST CAMPUS Asia Research-oriented Program – 1に参加しております修士2年(当時)の田中です!
このブログ記事は、韓国への留学に興味がある方に向けて書いています
以下がこのプログラムの具体的な対象者です(主観込み)
・英語話せるようになりたいけど、ガチガチの英語環境はちょっと厳しいなぁと思っているそこのあなた
・韓流アイドル好きで韓国語を勉強してみたいそこのあなた
世界トップレベルの研究室(少なくとも私の研究室はそうでした)で英語を使いながら、研究の仕方を学び、他の学生より1歩も2歩もリードをつけたい学士3,4年のそこのあなた
・3月4月時点で夏の企業インターンに参加できるか不安な修士1年のあなた(このプログラムは企業のインターンよりも参加倍率がずっと低く、なおかつ日本のインターンよりも難易度と楽しさはより高いので、適切な言葉ではないかもしれませんがコスパはかなり良いです)
・そして、何より、日々の研究で疲弊しきった修士2年のあなた
このプログラムはそんなあなたに大変うってつけなものとなっております
特に修士2年の身でこのプログラムに参加した私としては、本当に参加してよかったと思っています。
このブログを通して、「KAIST留学の何がそんなによかったのか?」をお伝えできればと思います。プログラムを決める参考として、またはプログラムに参加する前のハンドブックとして、このブログをぜひ活用してください!
背景
※注意)ここから先は長い自分語りが始まります。自分語りに敏感な方、アレルギーのある方は飛ばし読みしましょう。
私は経営工学系でAI(特にコンピュータービジョン)のスポーツ領域への応用を専攻しています。私の研究室は26人程度いるうちの半分以上が留学生なので、疑似留学みたいな感じで英語もそこそこに使えます。ですが、私はこれまでちゃんとした留学に行ったことがなく、日本語をしゃべっても許されるような環境に身をおいていたため、その甘えのようなものが英語学習の妨げになってしまっているのではないかと考えていました。また、私の周りには多くの留学生がいるため、彼らというフィルターを通して感じることができる留学というものに、興味、というよりも挑戦したくなりました。
そう思い始めたのが修士1年の夏頃でしたので、当時はなにぶん就活が忙しく、留学に行く時間も取れませんでした。修士1年の冬明けごろに無事就活を終え、これまでの学生生活を振り返る中で、何かやり残したことはないかを考えたときに、やはり留学しかないなという結論に至ったので、そこからすぐに「何かいいプログラムはないか?」と探し始めました。しかし、よく考えると、修士2年からは研究で忙しくなります。2ヶ月、3ヶ月もあまり関係のない研究をするのは、それはそれで力にはなりますが、時間のことを考えると現実的に考えて非常に難しいです。(博士に進むことを考えている方にとっては違うのかもしれませんが)
したがって、私の下した留学への条件、それは、
・1-2ヶ月程度
・自分がやりたい研究ができること
でした。
そして見つけたのが、このプログラムでした。
そしてその選択は、時として私の人生を大きく変えうる、素晴らしい決断であったと後から回顧しています。
プログラム応募から参加決定まで
このプログラムの応募が始まったのが、2025年の3月末ごろでした。4月の上旬ごろまでに、必要書類(履歴書、自身の研究(関心)領域、希望研究室3つ、パスポートの写し等)を提出し、4月の中旬ごろに行われる面接(1対4くらい)を行い、4月の下旬ごろには参加の可否が知らされます。
私はこのプログラムにどれくらいの人が応募するかわからなかったのですが、修士2年というアドバンテージを最大限に生かして、応募者をかきわけかきわけ、是が非でも参加してやろうと意気込んでおりました。しかし蓋を開けてみると、7月の応募者は私しかいなかったのです。
私以外の応募者はみな8月に応募していたということを後から知らされたのですが(笑)、7月はまだ2学期の途中ですので、考えてみればそりゃそうかと腑に落ちました。日本人のメンバーと一緒に行きたい方は8月にしましょう。(もちろん、1人だからこそ、得られたものはあったと思うところはあります)
何はともあれ、倍率1倍以下という(東大門よりも)広き門を難なく突破した私は、プログラム開始に備え、ちょうど1ヶ月前にメールで教授をコンタクトを取りました。私が最初に送った軽い挨拶メールに対する教授からの返信には「履歴書とやりたい研究テーマを送って」と記されていたので、私は日本でやっている研究とほぼほぼ同じような、アバウトな研究テーマを書いて、教授に送りました。私はてっきり、教授と事前にオンラインミーティングをみっちり行い、研究テーマを固めてから行くもんだと思っていたのですが、返ってきたメールには、「OK!君のやりたいことはなんとなくわかったので、後は現地で話し合おう!」とかかれていたため、教授との事前コンタクトはそれで終わりました。
なので、私は一抹の不安を抱えながら、教授とのミーティングの前の日までに7,8枚ほどのスライドを仕上げ、自分がやりたいことを納得してもらえるようにと準備をしておきました。あとから振り返るとこれが意外と大事でした。
さて、ここまでが出発前の大まかな流れとなります。日本での研究と並行していたこともあり、準備が一番大変でした…。
本章の最後に持ち物に関してリストアップしたので、ぜひ参考になさってください。基本的には以下に書いたものを用意しておけば大丈夫です。
・服3-5日分
・VISAかマスターカード
・研究道具
・電話番号付きeSIM(絶対に電話番号付きにしてください。カカオトークやタクシーに乗る際は必須です)
・行きのKTXの電子チケット(事前に予約)
・変換アダプタ
・日本からのお土産(必須ではないが教授やラボメンバーへ持っていくべき、私は日本酒とコーヒーを持って行きました)
後は基本的には現地で全て揃えることができます。ドライヤーのような家電も、現地のダイソーで700円くらいの安いものが売っています。
と、いう流れで大変だった準備を終え、スーツケースを片手に、たった1人の私の韓国留学(ハードモード)が始まったのであった…。
出会いとトキメキの第1週目
出発:
私が搭乗する予定の羽田発の飛行機の出発時刻は朝の9時でしたので、寝ぼけ眼でパンをくわえながら、朝7時にターミナルに到着しました。
チェックインをすませ、飛行機に搭乗し、2時間のフライトを経て、韓国の金浦空港に到着しました。
実のところ韓国は2回目でしたので(それも前回がたったの4ヶ月前、カジノに行くために旅行していたのである)、到着後の大きな感動もとりわけなく、そそくさとT-money を購入・チャージして、ソウル駅に向かいました。ソウル駅からKAIST のある大田(テジョン)までは、KTXという特急電車に乗る必要があります。特別列車にもかかわらず、改札がなかったのが驚きでしたが、それ以外は日本の特急とさして変わりはありませんでした。
無事、大田駅に到着した私は、用を済ませた後、神妙な面持ちでおりました。大田駅からKAIST までは徒歩で1時間かかります。タクシーは必須ですが、当然ドライバーとのキャッチボールをしなければなりません。私は韓国語が一切喋れないので、「どうしたものか...」と駅前のロータリーで、情けない感情でPapago を震えながらで握りしめていました。
そんな時に役に立ったのが、事前にインストールし、韓国の電話番号を登録しておいたカカオTタクシーでした。カカオトークに韓国の電話番号を登録しておけば、それと連動したアプリで簡単にタクシーを呼ぶことができ、到着場所もあらかじめ設定できるので、タクシードライバーとの会話をショートカットできるのです。これのおかげで、無事KAIST に到着でき、私はほっと胸を撫で下ろしました。
が、安堵するのも束の間、KAISTに到着するなり、私は驚きの光景を目にしたのです。
私の面前には、科学大で見られるものよりもさらに広大な緑と、整備された2車線幅の車道、そして道すがら至る所に置かれたレンタルスクーターと自転車でした。KAIST の敷地面積は大岡山キャンパスの3倍はあろうかというほどで、多くの学生がレンタルスクーターや自分のバイクを利用しているのを目の当たりにしたのです。
初めて見る光景に、修士2年生ながら小学2年生のように、わくわくとどきどきで胸が高鳴っていたのを覚えています。修士2年にもなると大半が死滅してしまうこの感情を、再び思い出せたような気がしました。
KAISTの寮とプログラムのメンバー:
次はKAIST の寮の話に移ります。
皆さんは、KAIST の寮がどんな感じかイメージできるでしょうか?
HPに写真があるので見てみてください。私にとっては初めての寮生活(2人部屋)となったのですが、部屋に入って思った感想は、正直に言うと「狭っ」の2文字でした。(後から聞いたのですが、清華大学の寮の方がもっと狭いらしく、参加者の1人は「こんなに広いのは夢のようだ」と誇張気味に言っていたので、贅沢は言ってられないなと深く反省しました。) でもこれがだんだんと慣れてきます。不思議なもので。
しばらく、荷解きをしていると、コンコンコンと、私のルームメイトがやってきました。当然、他のルームメイトは清華大学かシンガポールのNTUの人なので、若干ドキドキしていましたが、私は(当時)1ヶ月ほど前に発売されたばかりの日本版Switch2という強大な仕込み刀を帯刀していたので、絶対に彼とは上手くやっていける自身はありました。
玄関の扉を開けて入ってきたルームメイトの彼は、清華大学の修士1年生でした。そして、明らかにいいやつのオーラを漂わせていたので、お互いのオーラを共鳴させ、私たちはすぐに仲良くなれました。
次の日には彼の中国の仲間たちと合流して、KAISTの西側のゲートを出てすぐのレストラン街に繰り出しました。
今回のプログラムの参加者のメンバー構成としては、清華大学から5人(修士1年2人、学士4年3人、女子2人、男子3人)、NTUから1人(中国語も喋れる学士4年女子)、科学大から1人(中国語は際どいスラングしか知らない、やばい修士2年生)という圧倒的なアウェイの構成となっていました。
それでも彼らは優しく私に接してくれました。
英語がどれだけ下手でも、何も臆する必要はありませんでした。自分の考えを伝えたいという前向きな気持ちと、両指に収まるほどの際どい中国スラングを用意しておけば、すぐに仲良くなれたのでした。この後も、彼らと一緒に韓国の授業を受けたり、釜山や全州へ旅行に行きましたが、その都度、彼らは中国や、シンガポールのことを色々教えてくれたりして、非常に楽しい夏休みを過ごすことができました。心から感謝しています。
研究:次に,研究の話に移ります。
私は第1週目の月曜日に、初めて研究室を訪れました。教授との面会日程は事前にメールで決めることになっており、私は10時に教授と面会することになっていました。
私が配属することとなった研究室は、ビッグデータのAI分析を専門としており、2023年にできた比較的若い研究室でした。教授はなんとAmazonのAWS出身らしく、とんでもないコネクションと知識を持ち得ながら、それでいて極めて明朗で快活な方でした。初めての面会はとても緊張したのを覚えていますが、教授が接しやすい雰囲気を作ってくれたおかげで、すぐにリラックスでき、自分がこのプログラムでやりたいこと(Sport x Computer Vision)をプレゼンすることができました。その日はラボメンバーを引き連れランチにも連れて行っていただき、お互いの研究や文化についての話を交えながら、韓国の鍋料理を堪能することができました。
その後は、研究室に戻り自分のデスク周りの環境構築を行いました。
そこで驚いたのが、なんと1人につきモニターが2台も用意されていたのです!!これはこの研究室だけかもしれないのですが、これがこれまた非常に快適で、一台しか使っていなかったのが、「あなや馬鹿馬鹿しいな」感じるほどでした。
韓国語の授業:
第1週目の木曜日には初めての韓国語の授業がありました。この授業では、このプログラムのメンバーが一同に会して、韓国語を一から学びます。先生は基本的に韓国語を話しながら授業を進めますが、わかりづらいであろうところはその都度英語に翻訳して教えてくれたので、全く苦ではありませんでした。むしろ毎回の授業はめちゃくちゃ楽しかったです。
休日:
第1週目の休日は、KAISTからバスで15分ほどの距離にある新世界百貨店と、バスで30分ほどのところにある、韓国で一番有名らしい聖心堂というベーカリーへ、プログラムのメンバーの3人で行きました。このプログラムのホストの教授の方から「大田は何もない」と聞かされていたのですが、どちらもとても雰囲気が良くて楽しめたので、いい気分転換になりました。
1週目を終えて:
そんなこんなで第一週目を終え、気づけば日曜日の夜。時刻は23時を回り、寮のジムでひとしきり熱いベンチプレスを終えた私は、ふとこのようなことを思いました。
平日は朝9時半から研究室のデスクに腰をかけ、電車の時間も気にせず夜の23時半まで自分がやりたい研究ができて、昼食と夜食はラボメンバーやプログラムのメンバーと見知らぬ料理を食べ、休日は研究か、プログラムのメンバーと旅行に出かけて…。
なんて毎日が新鮮で快適で楽しいんだと。これが青春というやつなのかと。そうなのかと。したたる汗を拭きながらそう思ったのです。
思えば、私は日本という狭い箱庭の中でしか生きてきませんでした。大学生活もそうです。コロナ禍で、思い描いたとおりの大学生活は送ることはできませんでした。修士2年生になってからは、我々に訪れる特有の、えもいえぬ鬱屈とした閉塞感と研究への焦燥感の中で私も過ごしていました。それが、研究に悪い影響を与えていたように、今になっては思います。ですが、この留学が完全にそれを取っ払ってくれました。韓国という異国の地で、毎日が旅行のような感覚で、リフレッシュしながら研究を深めることができました。国際色豊かな友達もたくさん作れました。こんな経験はなかなかできるもんじゃないなと、そう思いました。そう思いながら、私は重たいデッドリフトをおもいっきり持ち上げたのでした…。
研究と旅行の2, 3週目
2週目あたりから、だいぶ生活に慣れてきて、平日は行動が固定化されてきました。
私の研究室では、月曜日にZoomでの簡単な進捗ミーティングが、火曜日に1時間程度の教授との一対一ミーティングがあり、そこでは自身の研究の進捗を英語で伝え、教授からアドバイスをいただける大変有意義な時間を持つことができました。
この章では、ネタバレにならない程度にいくつかKAISTや韓国での生活に役立ちそうなことやしょうもないことを雑にまとめるだけにとどめます。
・食事中、皿を持って食べる人は少ない
・飯は基本味が強く量が多い(残す人も多いですし、明らかに食べきれない量が出てくるときもあります)
・食堂は辛い物はないが、外食に行くと必ず辛い食べ物に出会う。避けるすべはない
・カカオTバイクが移動に便利で、10分で大体200円くらい
・歯ブラシ、フェイスタオル、スリッパ、洗剤は寮にあるコンビニで買える
・ドライヤーや、その他充電器等の雑貨は、寮からチャリで5分くらいのN13という建物で買える
・寮からチャリで10分のHomeplusという建物にはダイソーがあり、3階のスーパーでは基本的に何でも買える
・ACアダプタ用の変換器はどこを探してもない
・Switch2は日本版ですが韓国でもオフラインなら使えますが、充電のための変圧器が必要
・ジムは屋外靴でも多分使える
・構内を走るバスはTmoneyが必須で日本円で180円くらいで移動できる
・食堂は平日は朝は8時から9時半くらいまで、昼は11時から2時手前くらいまで、夜は5時くらいから7時くらいまで空いています。休日はW2以外の食堂は空いてない(はず)
・N11のKAIMARUという最も広い食堂のパスタが特におすすめ
・酒の序列(主観):チャミスルコーラ割り>>CASS>Terra>チャミスル単体=マッコリ
旅行する際の注意事項:
最後に旅行をする際の注意事項です。
もし週末に誰かと旅行に行く場合は、その週の初めごろには場所と時間を決めておいた方がいいです。各所、予約しなければならないアクティビティがあったりします。私は釜山に他のメンバーと3人で行きましたが、スカイカプセルのような乗り物の予約も含め、その週の前半にはほとんどの予定をスムーズに立てることができました。
4週目に向けて
今このブログを書いているのは、第3週目の金曜日です。今日はDAYトリップとして、全州韓屋村で、韓服体験と、韓国ハンコ作りを行いました。とっても楽しかったです。35度を超える高温の中、町中を歩き回ったので。帰りのバスではみんな泥のように爆睡しています。その中で私は一人、この記事を書いています。
4週目もイベントが目白押しです。この週の水曜日にプログラムの閉会式(という名の10分間の研究&活動紹介)があり、そのための発表資料を月曜日の23時59分59秒までに提出しなければいけません。したがって今週の土日は研究室で缶詰め状態になることが見込まれます。ラボメンバーが水曜日の夜に、韓国のカラオケに連れて行ってくれるというので、それを楽しみにして、最後まで駆け抜けたいと思います。(彼らがよく聞くという、Vaundy、Official 髭男dism、imase、星野源、米津玄詞師あたりの曲の練習を研究の合間にしようと思います。)
おわりに
以上で本ブログ記事をおしまいにしたいと思います。
随筆調でつたない文章だったとは思いますが、ここまで読んでくださりありがとうございました。少しでもこのプログラムに興味を持っていただければ幸いです。
このプログラムも残り1週間と僅かしかありませんが、それでもまだまだ新しいことに出会えることにワクワクしています。このプログラムで出会った人とはほぼほぼ今生の別れとなりますが、whatsappとインスタで繋がっているはずなので、お互いの国に訪れた際はもしかしたら会えるかもという希望を持って、それぞれの帰路に着きたいと思います。
このブログ記事が、あなたのプログラム選択の参考になれれば幸いです。
よい留学ライフを!!
Day trip で訪れた全州韓屋村のGyeonggijeon Shrine (경기전)